本の世界に入るなら
『本の妖精リブロン』のエントリーのコメントで末吉さんからコメントを頂き、本の世界に入るとしたら、どの本がいいか、という問いをいただきました。むー。本当に、本当に、生まれて一度も考えたことがなかったので、軽く衝撃でした。「本の中の人物に会いたいな」というときは、本から人が出てきて、こちら側の世界に来ることであり、こちらから行くという発想は、本当にまったくなかったので。
考えてみました。ある時期までの私だったら、赤毛のアンの世界だったと思います。プリンスエドワード島、という響きじたいを大変なきらめきをもって味わえたころ。でも、実際にアンのまわりの世界で暮らせるか。んー、考えていくと、本当にそれだけで失敗ばかりのドジが愉快な話ができそうです。きっとアンのドジどころではないでしょう。「今」行くのだったら、それなりに女の共同体でもうまくやっていけそうです。
ツバメ号とアマゾン号も冒険は最高です。だけど、それは、もしかして有閑階級の子どもの贅沢な夏の遊びへの憧れに過ぎないのかも。キャンプのきらめきは、大人になった今だから感じることであって、子ども時代にあの世界に行っても、船のことなど何も知らずに怖がり、途方にくれていたかもしれません。4人があたたかく迎えてくれさえすればうれしいですが、きょうだいの結束が固そうです。メアリー・ポピンズの世界は好きですが、彼女はおっかないので特に会いたくないし、百町森は私ごときが出かけて壊したくないし。ライラの冒険もわくわくしますが、私なんて、あっという間に死んでしまいそうです。
ああ、そう考えていくと、翻訳ものには人一倍親しんできたものの、子どものころに、自分がその世界にいることをリアルに想像できたのは、たしかに日本の作品でした。ひとつは『だれも知らない小さな国』。あの小山や小川の水の冷たさ、流されていく赤い靴、小人の気配にいたるまで、私はその世界に自分がいることを想像し、コロボックルに会ってみたいと強く思ったものでした。それから『窓際のトットちゃん』。お話ではなく実話ですが、実話だけどお話のようなものでしょう。小学校3年か4年で何度も読み、母に「私もトモエに行きたい」と泣いて訴えたのを思い出しました。あれはリアルな経験でした。小学校の先生に特にハズレたとは思いませんが、いい学校だとも思えませんでした。ごく普通の小学生。皆勤だったにもかかわらず、私は保育園も小学校も暗い時代でした。4年生が始まる始業式のときに「まだ半分もあるのか」とうんざりしたのを覚えています(だから、学生になり、大人になり、結婚した今のほうがよほど楽しく自由なのですが)。まあ、これも、本の中に入りたいというよりはトモエ学園にアトラクトされたたためなので、少し方向性が違う気もしますが…。でも、本の中に手触りを感じ、「お話」として楽しむのではなく五感で感じるのに「日本」というネイティブ感覚が私のもあったのかと発見して、いまさらですがびっくりしています。
今、本の世界に行くのなら。穏やかな絵本の世界をのぞいてみたいです。『もりのなか』の木陰に隠れて、ぼくたちの行進を見たり、『こよみともだち』の12の月のクリスマス会におじゃましたり。なんか安全第一みたいになってしまいましたが…。
「子どもの本」カテゴリの記事
- とうさんねこのたんじょうび(2008.06.01)
- CDで楽しむ えいごよみきかせ絵本 1&2(2008.05.20)
- 野上暁さんの出版を祝う会(2008.05.09)
- イヤー オブ ノーレイン(2005.03.10)
- 打ち上げ(2005.03.17)

Comments
宏枝さん、私の問いかけに答えてくださってありがとう!
たしかにたしかに、おっしゃるとうり、いざ入るとなると難しいですね。
百町森の世界などは、部外者の人間が入っていったら、クリストファー・ロビンを痛く傷つけてしまいそうですものね。
でも、宏枝さんも、あのコロボックルの世界に魅了されていらしたとは!
うれしい驚きでした。
結局、絵本の中が安全で(癒されそう)というのも、わかるような気がします。
私も、もう一度考えてみようっと。
Posted by: すえよしあきこ | 2007.11.02 at 06:18 PM
すえよしあきこさま、コメントつけてくださり、ありがとうございました!気づいてなくてすみませんでした。貴サイトのほうも拝見したのですが、自分のブログの話題に出て行くのもなんだかおもはゆく、読み逃げしてしまってごめんなさい。
コロボックルは、永遠です!
絵本ブームと「安全」のこと。指摘されてはじめてなるほどなあと思いました。しかも、参加したいわけではなく、そっと後ろから見ていたい感じなんです。これってもうすっかり親の心境ってことでしょうか(^^ゞ
Posted by: 鈴木宏枝 | 2007.11.06 at 11:09 PM