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宇宙をかきみだす―思春期文学を読みとく

Utyu  『宇宙をかきみだす―思春期文学を読みとく』(R・S・トライツ、吉田純子監訳、人文書院、2007年3月) 

吉田先生が監訳で、私も訳に参加した研究書です。出版は3月だったので、ずいぶんと遅いご紹介になってしまいました。『ねむり姫がめざめるとき』がすでに紹介されているアメリカの研究者、ロバータ・シーリンガー・トライツ氏が、ポスト構造主義で思春期文学・ヤングアダルト文学を読みといています。

第1章 「思いきって、おれに宇宙がかきみだせるのか」 ポストモダン期の思春期文学
第2章 「ぼく、歌詞を知らないんです」 思春期文学にみる制度的言説
第3章 「書くということはこういうことなのかもしれない。中身を変えて、本当のことがわからないようにカモフラージュする」 思春期文学にみる権威の逆説
第4章 「とつぜん、わたしはイッてしまった」 思春期小説にみるセックスと権力
第5章 「思いどおりに焦点をあわせるとき」 思春期文学にみる死と物語の結末
第6章 結論 思春期文学のポスト構造主義的教育性

訳出作業の中で、とてもたくさんのことを勉強させてもらいました。思春期文学の中学校・親・教会などさまざまな「権威」があって、幾重にも若者を取り囲んでいること。「権威」は、まずヤングアダルトを未熟な者としてある種の型にはめ、その後、成熟した自分たち大人の側へ招き入れるというパターンをとっていること。「成長」はイデオロギーであること。こうした「権威」が権威となるうえで、言説や言葉がたいへん重要であること、などなど。最近読んで違和感のあった『僕らの事情。』も、この考え方から考えていくと、のしかかる言説や「権威」の声がうるさく感じられるのだと分かりました。

かなり骨太ですが、目ウロコのところがいくつもあります。吉田先生もお好きだとおっしゃっていた第5章、写真術を使って、若者がパワーを手に入れることの分析は、読んでいて心があたたかくなるような、ぐっとくる論考でした。ぜひ、お手にとっていただければ幸いです。

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