« October 2006 | Main | December 2006 »

November 2006

まってる。

Matteru『まってる。』 デヴィッド・カリ&セルジュ・ブロック、やく/こやまくんどう、千倉書房、2006年11月17日
 ご高著を拝受しました。横に細長い、とてもおしゃれな絵本です。何の前知識もなく詠み始め、「まってる」たくさんの場面を見、何回か読んでから、ちいさな男の子が老年になるまでの一生の中にさまざまある「まってる」が、シンプルな日本語と、赤い毛糸のモチーフで表現されていることに気づきました。小さなおにいちゃんになるのをまってる子ども時代から、恋人をまってる青年へ、そして、老いもおとずれます。
 赤い毛糸が、本当にいいんです。ひもだったり、ママの編んだセーターになっていたり、まさに「赤い糸」になっていたり。深い悲しみや、永遠の別れをあらわすときに、本当に深い色に感じ、また、幸せや喜びをあらわすときに、本当にやさしくあたたかい色に感じられます。私の好きなのは、へそのおに見立てられているページです。そこからつづく数年は、今の私自身に重なってきて、この忙しくも充実した時間の幸福さを絵にして見せてもらったように思いました。その「いのち」は、最後にも、「ぼく」への希望となります。
 戦争時代が描かれているのはなかなかショックです。原作は2005年。でも、恋人たちの別離が、戦争を介する可能性というのは意外にリアルなのでしょう。

 千倉書房のサイトから、訳者の小山薫堂さんのインタビュー記事を見つけました。へええ、と思うことがたくさん書いてありました。本は本として、背景は関係なく読まれるべきと思いますが、こういう裏話を聞くのは、大人の楽しみです。
 最後のページを見ると、たしかに、1枚の空白がありました。私は何をまってるだろう。赤い毛糸からつむがれる時間、雪の日、お正月。今のところは、旧友との再会を「まってる。」です。

| | Comments (3) | TrackBack (1)

『子どもと本の架け橋に―児童図書館にできること』

Kakehashi  『子どもと本の架け橋に―児童図書館にできること』 高鷲志子、角川学芸ブックス、2006年10月25日。 
ご高著を拝受しました。ご出版、心よりおめでとうございます。おもしろくてあっという間に読んでから数週間が経ってしまいました。
八洲学園大学の司書課程の授業の中の「児童サービス論」のテクストとして出版されたものを加筆訂正されています。

第一章 子どもと読書
第二章 児童図書館員の使命
第三章 伝承文学
第四章 絵本
第五章 物語・創作文学
第六章 発見の本など
第七章 子どもの本とその周辺
第八章 児童サービスの実践
第九章 子どもと本の架け橋に

テクストとして、各章でのわかりやすい記述にくわえて、子どもが本を読むということを、心から大切にし、それを手助けしていく大人の責任の重さ、また、その大切さを理解することなく子どもと本をほんとうにはつなぐことはできないという信念がにじみでていて、じーんとしながら読む部分もあり、襟を正す思いになる部分もありました。現場で、生身の子どもと向き合い、その子の本読みにどうかかわるか、その一回性の大事さ、また、長くかかわりつづけることの大事さを、両方、学生さんに伝えたいと思っているのではないかと思います。

子どもの本の奥深さについて、たとえば伝承文学では、私も参加し、また白百合で講義をずっと聞かせていただいていた小澤先生の論をひきながら、昔話や昔話絵本について、どのような本をまず子どもに手渡すべきかを考えています。さらに、「物語、創作文学」の章では、私が『ほんとうはこんな本が読みたかった!』(原書房)で書いた前書きを引用してくださいました。私がさらりと「子どもをたどって到達する根源的な文学」と書いたところを掘り下げ、『やねうらべやのおにんぎょうさん』(柳生まち子、福音館書店)を例に、おにんぎょうさんが女の子のそばで真に生かされるようになる物語をひきながら、「命や魂に関わる行為が『子どもをたどること』になり、その行為そのものが根源的である」(148)と書いてくださっています。さまざまな具体の中に答えがうまれること、また、その具体にこそ、ひとりひとり違う生きた子どもと、その子の物語がかかわってくるのだと改めて感じました。

こういうことをきちんと知り、知るだけではなく、自分の中で子どもと本の関係をしっかり考えた、深く掘り下げた経験をもち、その内省の上に本を手渡せるような図書館員さんに、本当に子どもと本の架け橋になっていただきたいと思います。もちろん、ああ、この本もあの本も載ってる♪という選書リストもあります。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

子どもの本を読みなおす

Kodomo 『子どもの本を読みなおす』 ジョン・グリフィス&チャールズ・フレイ、鈴木宏枝訳、日本語版序文神宮輝夫、原書房、2006年10月。

The Literary Heritage of Childhood
, 1986の翻訳です。取り上げられている作品は時系列に全部で28。西欧文化圏で読みつがれてきた古典を、さまざまな角度から検討し、「こんな読み方があったのか」という示唆を与えてくれる、一般読者向けの研究書です。研究者にはわりとスタンダードな議論ですが、作品を考えるうえでの要点がコンパクトにまとめてあるので、何かと便利かもしれません。「読みやすい」「卒論に煮詰まった学生がまわしよみしている」「これを読んでから、作品を読み直せばきっとおもしろくなります」などさまざまなお言葉をいただいています。

取り上げられた作品
『ペロー童話』『美女と野獣』『マザーグースのメロディ』『グリム童話』『アンデルセン童話集』『もじゃもじゃペーター』『太陽の東 月の西』『ノンセンスの詩/笑いの歌』『クリスマス・キャロル』『黄金の川の王さま』『かるいお姫さま』『旅のマント』『ピノッキオの冒険』『ハイジ』『不思議の国のアリス』『若草物語』『トム・ソーヤーの冒険』『リーマスじいやの物語』『宝島』『イギリス昔話集』『偉大なオズの魔法使い』『たのしい川べ』『』ピーター・パン』『ジャングル・ブック』『ピーターラビットのおはなし』&『りすのナトキンのおはなし』『大草原の小さな家』『荒野の呼び声』『シャーロットのおくりもの』

古典的児童文学作品の魅力と奥深さをさぐり、作品と作家の光と影にせまります。「こんな読み方ができるのか」と深くうなずけるおもしろさがあり、研究者の方にも一般の子どもの本がお好きな方にも、それぞれに発見があると思います。お好きな作品の章からどうぞ。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

11月3日-5日 那須

 気がつくと1ヶ月も放置していたブログでした。毎日、少しでも書き留めたいと思うのに。
 先週の3連休で那須に行ってきました。行きの関越は激込みで大渋滞でしたが、夕方には宿につき、2泊3日でいっぱい遊びました。

ホテル:那須高原TOWAピュアコテージ
ホテルというか、テラスハウスタイプのコテージの2階でした。ベッドルームが2つ、リビングとダイニング、ただしキッチンはなしというつくりで、暖炉がありました。だんなさんが、キャンプでとった杵柄でがんばって火をつけ、サービスのマシュマロをあぶって食べました。べっこうあめのような、つまり砂糖がこげる、甘い味です。朝食のみのプランにして、朝はビュッフェでおいしかったです。連泊でしたが、朝のメニューは変えられていて、気配りでした。

つりぼり:清流の里
ガイドブックに載っていたつりぼりで、初経験。入れ食い状態で、さおを入れるやかかりました。何度かはえさだけとられたり。Tさんはへっぴり腰でしたが、一応は、魚がひく感触を知れたようです。食べられる分だけ釣るという原則だったので、3匹だけ釣り、荒塩と炭火でじゅうじゅう焼いていただきました。ちなみにニジマスです。ものすごくおいしかったです。獲れたてのうまみなのでしょうか。臭みはぜんぜんなく、ほろりと崩れる身は鮭のように薄ピンクで、子どもたちもぱくぱく食べていました。

遊園地:那須ハイランドパーク
ホテル隣接の遊園地です。レゴランゴや小さい子向けの電車、ダンボ、観覧車など。私とTさんはフリーパスを買って、もとは十分とるだけ乗りました。私とTくんで乗ったものもあります。あと、F2などの絶叫コースターは、私だけ(!)乗ってきました。ただし、爽快だったし、スリルもあったし、足をぶらぶらさせて乗るタイプも、一回転タイプも迫力でしたが、私としては、ジェットコースターを心のそこから楽しむ季節は終わったのかな、という気もしました。Tさんと「こわいねたのしいね」と言いながら乗ったお子様向けでんでらりゅうば風のドラゴンミニコースターのほうが、がぜん楽しかったです。ということは、もっと大きくなったら、より迫力の絶叫マシンにも、一緒に乗る楽しさが再度出てくるのかもしれません。

レストラン:創造の森農園レストラン
シュタイナー保育園が隣接されていました。古代米、赤米などを使った定食は、野菜だけのシンプルなけんちん汁がなんでこんなにじんわりおいしいのかと思うほど、おそらくは手をかけて作られているすばらしいごはんでした。ビーフシチューもとろとろ、チャーハンは子どもたちがもりもり。オーガニックなど、私は普段はそんなに気をつけていないのですが、こんなに、本物のおいしさにやられてしまうと、ちょっと天然生活しなきゃなーという気になります。

那須サファリパーク
びっくりするほど値段が高かったのですが、このお金が動物さんたちの餌代になるならまあ、しかたないな、という感じ。ライオンバスに乗って、キリンや鹿やゾウにえさをあげられること。親のほうが興奮してしまいました。ゾウの鼻は鼻水だらけでした。キリンの舌は45センチもあるとか!ぺろーんと手のひらに乗せた餌をなめとります。Tさんは腰が引けていましたが、鹿やロバに餌を投げるイベントは一生懸命やっていました。ライオンは、ぐーすか寝ていました。いつか、ナイトサファリも見てみたいです。ここではお土産に、ゾウの糞を洗って繊維にして漉いた、バングラディシュ製の紙を買いました。とても風合いがいいです。

宿に温泉がついていたので、何度も入りにいきました。Tさんが一番好きなのは実は温泉で、心から楽しみにして、朝も晩もです。いっちょまえに髪をあげて露天風呂なんかに浸かったりして、私もしみじみ極楽でした。一応、仕事がひと段落おめでとうをかねてでしたが、いいリフレッシュになりました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« October 2006 | Main | December 2006 »