食の文化センター
Food for Thought プロジェクトは野に出る日。高輪にある味の素の食の文化センターを見学に行った。お目当ては、食と食文化に関する資料が豊富な食の文化ライブラリーだったのだが、2階に「食とくらしの小さな博物館」があって、まずはそこをぞろぞろ見に行く。小さなスペースでの常設展で、社が所蔵している錦絵に見る「食」。江戸時代の歌舞伎の「幕の内弁当」の再現や、東海道五十三次の各宿場町の名物などが示されている。
小さな博物館の方では、プロジェクトXのような味の素誕生秘話のビデオや、日本の食卓1世紀の変遷の再現こーナーなど。明治時代の4畳半の居間のコンパクトさが驚きだった。煮炊きは離れた台所でやっていたわけだけど、寝室にも居室にも客間にもなる日本の4畳半で、展示されていたちゃぶ台はほんの小さなまるさだった。一汁一菜で家族が数人なら、たしかに、わずかなスペースで食も事足りる。旅館のような大きな足折の座卓では、実は、この「何でもありの日本の部屋」は窮屈になってしまうのだということを発見した。ちいさな暮らし、広がるスペース。
PCが置いてあって、味の素のサイトでレシピなどが検索できるコーナーに、レシピ本が何冊か置いてあった。
欲しいな、もうちょっと見たいな、読みたいな、と思う本がいくつも。
『おいしいものはガラスびんに入っている』
(AC Mook、アスコム、2004.9)
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『伊東家の食卓 裏ワザcooking』
(日本テレビ放送網、2004.10)
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『栗原はるみのジャパニーズ・クッキング』
(栗原はるみ、扶桑社、2004.9)
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『毎日がこはるびより』
(伊藤まさこ、集英社、2004.10)
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食の文化ライブラリーでは、NHKの文化シリーズ「西洋料理史綺談 ディケンズの食卓」のビデオをざっと見した。Christmas Carolのクリスマスの食卓の描写から、イギリスの食談義に。
床に堆く積み上げられ、玉座のような形をなしているのは七面鳥や鵞鳥、猟禽、家禽、野猪の肉、輪切り肉、仔豚、長くつないだソーセージの環、ミンス・パイ、プラムのプディング、牡蠣の樽詰、赤く焼けた栗、桜色の頬をした林檎、汁気の多いみかん、頬の落ちそうに美味しい梨、すてきに大きな公現祭の祝菓子、煮え立っているパンチなどであって、パンチから立ちのぼる良い匂いの湯気で部屋はかすんでいた。 (村岡花子訳、新潮文庫、p.70)
放送当時は察するに、クリスマス前だったのかもしれない。スピーカーは、辻料理専門学校の偉い人と、英文学者と、日本で英語の先生をしているイギリス人の女性で、傍らでは、専門学校のコックさんが七面鳥のローストとクリスマスプディングを作っていて、出来上がりは見るからにおいしそうだった。
「イギリスには食生活はあったが、料理はなかった(主に労働者階級の話)」「イギリス料理は、中世のフランスがそのまま居座っている感じ」「フランス料理を真似るからイギリス料理は美味しくなくなるけれど、ジャガイモやアスパラを畑から取ってきて、地のままで食べればちゃんとおいしい」「(たくさんの国を滞在したアンさんが)イギリスの食事は薄いです。セイロンや中国や日本に比べて。……でも、おいしい!(母国の味)」といった言葉たちが印象的だった。
散会後は、先生ふたりと五反田のTo the Herbsへ。土曜の昼下がりの店は込んでいたが首尾よく入り、ランチセットでおなかいっぱい。ちゃんとしたイタリアンのランチなんて、久しく食べてなかったなあ。と贅沢気分である。
今読んでいるのが夏目漱石の『倫敦塔・幻影の盾』なのだが、本屋でちょうど見つけた今号の「サライ」の特集が、「「則天去私」天下一の文豪の素顔 夏目漱石」で、漱石ゆかりの場や物品、そして味が取材されている。思わず買ってしまった。みんな、つながっている。
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