家族が増えました
2月16日に、予定日より9日遅れて3614gの男の子が生まれた。水中出産希望だったことと、前回も10日遅れだったことで、先生は自然な陣痛を待ってくださっていたのだが、この日の検診で、誘発剤入りの点滴をしながら心音のモニタリングをして、胎盤機能が落ちていないか調べるCST検査(ストレスありテスト)の適応になるといわれる(5日前の検診で説明は受けていた)。
普段、NST検査をやっているスペースでその検査を受けている人を見ると、雑誌を読んでいたりいびきをかいて寝ていたりしているし、終わってお腹の張りが収まればすたすた帰る人もいるとのことで、3~5時間かかるならと私もあらかじめ本やら雑誌やら持ち込んでいたのだが、10:00に点滴を始めてすぐに重だるい感じに襲われ、とても本など読めない。
だんなさんが半休とって入院荷物を持って付き添おうかと言ってくれていたのだが、何にもなかったら雨の中私が荷物を持ち帰らなければならないし、陣痛くるか定かではないし、検査をやるスペースには男性はどうせ入れないし、で断ってしまっていた。でも、途中でお腹が空いてたまらなくなり、こういうときにそばにいてくれたらと強く思う。
途中から痛みがどんどん強くなって、Tさんの出産のときの身体的記憶がよみがえり、「無痛だとここでこの痛みをとるんだよなー」と考える。呻いたり声に出して数を数えたり(でも、誰にも聞こえていなかったらしい)、目盛を上げにくる助産師さんたちに「痛いですぅ」と訴えたりしたのだが、検査内のことだし、そんなに進んでいるとは誰も思わなかった…そうだ。後で、「我慢強いんですね」と言われた。
マックスになったのが12:00ごろで、2分間隔。ただ、前夜の夜更かしと明け方の地震のせいでそのマックスな痛みの中、痛くないときは、まさにfall asleep状態で痛い、眠い、痛い、帰ったら昼寝したい Zzz 痛い…状態。痛いときに目をつぶると痛みに集中してしまうので、波が来るときは「はよ落ちんかい」と点滴袋を見つめ、遠のくと眠るという具合だった。遠くで笑っていいともらしき画面がちらちらしていた。そのとき考えていたのは「これで検査だけでまた次に本番があったら、二倍損だなあ」ということ。
でも、結果、やはり途中から自然陣痛が来ていて、そのままお産になる。二度目がなくてよかった。やっぱり、あのぐぐぐっと押されて下がる痛みは、ただのお腹の張りではなく、ベビーの進行だったか。13:30に診てもらって7cmでぐんぐん進み、14:00に入院部屋から親に、Tさんと一緒に入院荷物を持ってきてくれるように、だんなさんには会社から来てくれるように電話。だんなさんが駆けつけたのが14:20で、生まれたのが14:40だった。親とTさんと入院荷物は微妙に間に合わなかったが、すべて済んで分娩室から出たら、デイルームで待っていてくれた。Tさん、不思議そうに見つめ、入院室ではそっと握手。
なんというか呆然としてしまう。最後の水中では、普通は40分くらい入るところを入って5分で生まれてしまい、堪能しきれず。でも、目をつぶってゆらゆらとお湯の中に出てきたベビーを抱きとめてお腹に乗せたら、なんともいえないじーんホルモンがわいてくる。だんなさんも結果的には間に合って一緒にいたし、ストレスなくきれいに生まれてきたベビーは、頭も丸く(Tさんのときはほていさんみたいに長くなってしまっていた)なんとも穏やかなひとだった。
介助してくれたI助産師さんは、偶然だが、Tさんを出産した頃にTさんの病院にお勤めで、初期の検診のときにその話題で盛り上がったことがあった。LDRの決まったお産だけでなくいろんな場面に立ち会いたいからと病院を移ったそうだ。13:30の診察のときに、「私、お産に入るね」と力強く言ってくれて最後まで。そういえば診察のとき、Iさんだけでなく女医の先生もほかの助産師さんも「お産になりますよ」と満面の笑みになり、進行の早さにパニック気味だった私はその顔を見て、「とにかくすごくいいことが起きるんだ」と安心したっけ。
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I助産師さんには「大のつく安産でしたね」と言われ、その晩から同室に。Tさんのときは入院中もすごく大変だったような気がするのだが、今回は私にも余裕があるし、ナースコールで授乳のたびに当直の助産師さんが来てくれて一緒にみていてくれるし、出産は産んで仕舞いではなく、その後のケアの方が重要だから(Tさんのときは、出産は大満足だったけれど、その後の母乳問題や乳腺炎、骨盤痛などのときにどうしていいのかわからなくて困ったことがある。結局自己流)、入院生活を通じて、ここの産院にして良かったなと思った。「何かあったらいつでも電話してきていいし、見せにきてもいいし」と気軽に言ってくれたのも心強い。
部屋は大通りに面しているので車量が多く、近所に消防があって救急車が通る。…ので、新生児は寝ていてもモロー反射を起こすことがあった。吉本ばななが酷評していた食事は私には普通…かな。量はもっと欲しかった。おつゆが冷めていたりすることも。でも、リネン交換や配膳の方はとても感じよく、気を使っていただいた。
全個室だから他にどんな方が入院されているのか知らなかったのだけど、退院前に先生や助産師さんたちと記念写真を撮る時間があって、そのとき一緒だったご夫婦&ベビーボーイと15分ほどおしゃべりする。奥さんがものすごくきれいで気さくで、モデルでもされているのかな、と思ったのだが、後で知った、むしろ有名なのはご主人の方だった。とても素敵なカップルで、ベビーはご主人の名前にちなんだ楽しい名前。これからこのグループの歌を聴くとき、私はあの生まれたてのベビーボーイを思い出すことだろう。
水曜に入院して特に問題もなかったので、普通より1日早く、日曜日に退院する。Tさんは私の親やだんなさんと一緒に、毎日お見舞いに来てくれた。10ヵ月の間、検診も毎回一緒だったし、彼女なりにベビーブラザーの存在は大きく優しく受け止めているようで、よくかまい、かわいがっている。その代わり、大人への要求はときに激しく甘えんぼ。
私は一人っ子、だんなさんは兄弟なので、姉弟という世界は未知の領域。でも、Tさんのときは「家族が増えました」というより、家族の関係も生活も根本からの大変化だったのだが、今回は、ごく自然に「家族が増えました」だ。
やっと会えたね。これからどうぞよろしく。
